※この記事は、実写映画『秒速5センチメートル』をこれから見る方へ向けた紹介&ちょこっと感想です。
予告や公式サイトでわかる程度の展開には触れていますが、映画の結末や重大な展開には触れていない、ネタバレなし感想になります。
どんな作品なのかを知りたい方は、ぜひご覧になってください。
この記事で、この映画に興味を持ってもらえたら嬉しいです。
※この作品は、新海誠監督の代表作のひとつである『秒速5センチメートル』(アニメ映画/2007)を、奥山由之監督が実写化したものです。
アニメ映画を見ていなくても、問題なく鑑賞できます。
実写映画『秒速5センチメートル』(2025)の基本情報|公開日・キャスト・スタッフ一覧
『秒速5センチメートル』(2025年10月10日公開/日本)
原作:新海誠『秒速5センチメートル』(アニメ映画/2007年)
監督:奥山由之
脚本:鈴木史子
音楽:江﨑文武
主題歌:米津玄師「1991」
劇中歌:山崎まさよし「One more time,One more chance」
キャスト:松村北斗、高畑充希、森七菜、青木柚、木竜麻生、上田悠斗、白山乃愛、宮﨑あおい、吉岡秀隆、又吉直樹、ほか
上映時間:121分
配給:東宝
→上映館などを調べたい方は、映画『秒速5センチメートル』の公式サイトへどうぞ
実写版『秒速5センチメートル』のあらすじ|新海誠アニメの実写化ストーリー
2008年、東京。
都内でプログラマーとして働く遠野貴樹(松村北斗)は、周囲の人々とは深く関わらない生活を送っていた。
30歳を前にして、仕事の関係や昔の知り合いと再会するなどの小さな変化があったことにより、貴樹は小学生のときに出会った明里という女の子との思い出に想いを馳せるようになる。
小学5年生の3月、もう少しで6年生になるという時期に転校してきた明里(白山乃愛)は、周囲になかなか馴染めないでいた。
そんな彼女に、1年前に転校してきた貴樹(上田悠斗)が小さな助け舟を出したことで、2人は友達になる。
親の都合で転校が多いという共通点のある2人はあっというまに親しくなり、貴樹が興味を持っている宇宙や天文について、明里も詳しくなっていく。
子供向けの科学雑誌に書いてあった、「1991evという小惑星が地球に近づいてきていて、地球に衝突するかもしれない」という話を、2人は半信半疑ながらも共有しあう。
舞い落ちる桜の花びらを見ながら、明里は貴樹に、「桜の花びらが落ちるスピードは秒速5センチメートル」だという話をする。
「来年も一緒に桜を見ようね」
このままずっと仲良く過ごしていけると思っていた2人だったが、明里が引っ越すことになってしまい……
どのくらいの速度で生きれば、また君と会えるだろう。
そう思いながら、貴樹は明里との別れ以来、どこかに何かを忘れてきたような気持ちをぬぐえないでいた。
一方、東京で働く明里(高畑充希)もまた、貴樹との思い出を胸に抱きながら、静かに日々を過ごしていた。
お互いに東京にいることを知らないまま、それぞれの時間を生きていく2人だったが、また会おうと約束を交わした日が近づいていることを思い出す。
2009年3月26日。
それは、「小惑星1991evが地球に衝突する」とされている日だった……
私が『秒速5センチメートル』を見た理由|松村北斗の演技に注目
主演が松村北斗さんだから。
私は松村さんが所属しているSixTONESというグループについてはほぼ何も知らないのですが、松村さんの出演した作品はいくつか見たことがあります。
NHKの連続テレビ小説『カムカムエブリバディ』(2021年10月~2022年3月)が、認識した一番最初かな?
劇場版『きのう何食べた?』(2021年11月)という作品にも出演されていますが、この映画を映画館に見に行ったんですけど、松村さんに気が付きませんでした。
多分、まだちゃんと認識してなかったんだと思います。
その次に認識したのが、この実写映画『秒速5センチメートル』の原作者である新海誠監督の劇場アニメ『すずめの戸締まり』(2022年11月)です。
宗像草太役として、声を担当されていたんですが、そのときに「すんごいいい声だな」と思ったんです。
耳に心地よい声質、というだけでなく、声での演技がしっかりしていて、すごくいい俳優さんだな、と思ったことを覚えています。
それから、『カムカムエブリバディ』で共演していた上白石萌音さんとのダブル主演の『夜明けのすべて』(2024年2月)という映画を映画館へ見に行きました。
私はこの映画が大好きなのですが、松村さんの表現力はこの作品でもすっごくよかったです。
実写映画『秒速5センチメートル』でのエピソードのいくつかが、映画『夜明けのすべて』を想起させるものだったので、『夜明けのすべて』が好きな人に、今作の鑑賞をおすすめします。
そして、松たか子さんとのダブル主演の『1ST KISSファーストキス』(2025年2月)。
※『1ST KISSファーストキス』については、ネタバレなしの紹介記事と、ネタバレあり考察記事をこのブログで公開しています。
この記事の最後にリンクを貼ってありますので、よかったら参考になさってください。
おすすめです!
今回の『秒速5センチメートル』は松村さんの初主演ということで、かなり期待して見に行きました。
ちなみに、アニメ映画の『秒速5センチメートル』は未鑑賞です。
なので、アニメ映画がどのように実写化されているのか、という方面での期待ではなく、「松村北斗の演技」が目当てで鑑賞しました。
その結果はどうだったのかというと、松村北斗さんの演技、すごくよかったです!
ネタバレなし感想|実写『秒速5センチメートル』の切なさが残る独特の余韻
映画の内容というか展開というか、には、実はちょっと静かな葛藤というか、「んん~~~?」と思う部分があります。
それは、誰もが納得する明確な答えが出ないように感じることへの、作品からの問いかけなのかもしれません。
それを松村北斗さんの演技力が救っている、と感じました。
なんていうか、演技や表現、演出によっては、今以上に葛藤を感じたかもしれない可能性があるなと思ったんですが、それを松村さんの繊細な演技が救っているんです。
松村さんが演じているからこそ、絶妙なバランスで成り立っているというか。
主人公の遠野貴樹という人物の内なる痛みと孤独を、見事に体現できるのは松村北斗しかいない、というか。
これは、松村北斗ありきの作品だな、と思いました。
なので、実写映画『秒速5センチメートル』は、俳優・松村北斗のファンにおすすめなのはもちろん、原作のアニメ映画のファンの皆さんにも見てほしいなと思います。
私はアニメ映画を見たことがないので、実写映画と内容が違うところがあるのかなどはわかりません。
それでも、物語の展開や人物像は、アニメ映画とほぼ同じなんじゃないかと考えています。
そして、アニメ映画が62分だったのに対し、実写映画は121分と倍の長さになっていますので、その分だけ人物描写に深みが出ているんじゃないかと思っています。
遠野貴樹という人物が、松村北斗という俳優の演技力と肉体と声を持って生まれ変わったら、どうなるのか。
原作ファンの方に、それを映画館で確かめてみてほしいなと思います。
また、ヒロインの明里を演じる高畑充希さんや、貴樹の高校時代の同級生として登場する森七菜さんの演技にも注目です。
それぞれの時間、それぞれの場所で、それぞれがどんな思いを抱き、日々を過ごしていたのか。
画面から伝わる繊細な空気感や、時代背景の描写などを、映画館の大画面で感じてほしいです。
実写『秒速5センチメートル』の見どころ|主題歌・劇中歌と映画『月とキャベツ』との繋がり
一番の見どころは「俳優・松村北斗」「松村北斗の表現力」「松村北斗ありきの内容」なんですが、他にも見どころはたくさんあります。
ひとつずつ紹介します。
米津玄師による主題歌『1991』が響かせるノスタルジーと時代背景
米津玄師さんの主題歌タイトルの「1991」は、1991年のことを指しているんだろうなと思います。
1991年は、小学生の貴樹と明里が出会った年であり、小惑星「1991ev」の1991であり、現実の日本では1986年から続いていた好景気、いわゆる「バブル」が崩壊した年です。
バブルは崩壊したけど、世間ではまだまだバブル景気に浸っていた時期になります。
『東京ラブストーリー』というドラマが流行し、ディスコ・ジュリアナ東京で、ボディコンに身を包んだ女性たちがお立ち台で踊っていました。
映画ファン的な出来事として、私の大好きな映画『羊たちの沈黙』が公開された年でもあります。
「1991」という数字は、この作品における「もう戻れない懐かしい過去」の象徴だと思います。
私は米津玄師さんの音楽(歌)がとても好きです。
メロディラインや歌詞が素晴らしいのはもちろんなんですが、それらをさらに素晴らしいものにしているのが、米津さんの「作品への解釈」だと思います。
作品世界にぴったりとハマる、これしか考えられないという主題歌を発表されるので、すごいなと感嘆しています。
実写映画『秒速5センチメートル』の主題歌としての「1991」を聴いて、米津さんがこの作品をどのように解釈しているのか、その解釈が自分の解釈と合っているのか、それとも違うのかを、確かめてみてほしいです。
ちなみに私がいままでに見た映画に提供した米津さんの主題歌で、一番解釈一致していると思っているのは、庵野監督作品『シン・ウルトラマン』の『M八七』です。
私は子供のころ、ウルトラマン大好き女子だったので(今も好きです)、この主題歌を聴いてウルトラマンの地球人への気持ちがわかった気がして、号泣しました。
ずっと、「どうしてウルトラマンは、故郷から遠く離れた地球で、たったひとりで、私たち(地球人)のために戦ってくれるんだろう?」と思っていたので、そのアンサーソングである『M八七』を、生きているうちに聴くことができてよかったです。
山崎まさよし『One more time,One more chance』が繋ぐ記憶
『One more time,One more chance』は、アニメ映画『秒速5センチメートル』の主題歌です。
とはいえ、私にとっては、この曲は映画『月とキャベツ』(1996年)の主題歌だという印象の方が強いです。
映画『月とキャベツ』は、山崎まさよしさん主演の映画です。
スランプに陥ったミュージシャン・花火(山崎まさよし)が、田舎の廃校に住み着いて隠匿生活を送っているところに、花火のファンだと自称するヒバナという少女が現れる……というあらすじです。
この映画の内容と、『One more time,One more chance』の曲調・歌詞は、これ以上の組み合わせはないだろうというくらい、合っています。
『月とキャベツ』以上に『One more time,One more chance』が合う物語はない、と思っていたのですが、アニメ映画『秒速5センチメートル』の主題歌に起用されているのなら、アニメ映画のほうも是非鑑賞したいと思います。
そのアニメ映画を実写化した今回の作品にも、当然この歌は使われています。
この曲がどのタイミングで流れ、そのときに劇中でどんなことが描かれているのか。
ぜひ、確認してほしいなと思います。
また、実写映画『秒速5センチメートル』の物語の中で、『月とキャベツ』を知っている人なら「あっ」と思うシーンがあります。
『月とキャベツ』ファンの方には、ぜひ見てほしいです。
※『月とキャベツ』はU-NEXT、DMM TVで配信されています。
→U-NEXTの配信ページはこちら ※初回31日間無料 2,189円(税込)
→DMM TVの配信ページはこちら ※初回14日間無料 550円(税込)
amazonプライム・ビデオやHuluなどでは配信していません。
実写『秒速5センチメートル』はこんな人におすすめ|松村北斗・米津玄師ファン必見
- 松村北斗さんのファン
- 米津玄師さんによる、作品世界の解釈一致な楽曲が好き
- 山崎まさよしさんの『One more time,One more chance』が好き
- 映画『月とキャベツ』が好き
- 宮﨑あおいさんのファン
- 「小惑星」「宇宙」などの言葉を聞くと心が躍る、宇宙に興味がある
- 映画『夜明けのすべて』が好き
あと、「子供のころに、親の仕事の都合などで、転校や引っ越しが多かった」という人に、とてもおすすめしたいです。
私も数回の転校・急な引っ越し経験があるので、貴樹の気持ちも明里の気持ちも、どっちも理解できて、なんだか胸が締め付けられました。
実写映画『秒速5センチメートル』まとめ|静かな余韻と、止まった時間の再起動
新海誠監督のアニメを実写化した本作は、「時間」と「距離」をテーマに、人が誰かを思い続けることの痛みと優しさを描いています。
松村北斗さんが演じる遠野貴樹は、心の奥にある「忘れられない記憶」を抱えたまま、もがいている人物です。
そんな彼が何を選択し、どう行動しようとしたのか。
彼を取り巻く周囲の人々も魅力的で、それぞれにいろいろな人生があるのだということを感じさせてくれます。
高畑充希さんや森七菜さんといった豪華キャストの存在感も見逃せません。
米津玄師さんの主題歌『1991』や、劇中で流れる『One more time,One more chance』が、物語のノスタルジーをさらに深めています。
貴樹と明里が出会った小学生時代。
離れ離れになったとき。
時間と距離が離れてしまった2人が、それぞれに過ごしてきた時間。
ノスタルジックな映像美と、情感あふれる描写は、見た人の心に残り続けます。
静かで繊細な作品ですが、その中にある決断や、時間が動き出す瞬間を、ぜひ映画館で感じてみてください。
アニメ映画『秒速5センチメートル』の紹介
アニメ映画を未視聴のままで、実写映画『秒速5センチメートル』を見るのは何も問題がないと思っています。
むしろ、何も知らないまっさらな状態で見るほうが、いろいろ響くものがあるかもしれません。
ただ、作品を深く理解したり、考察するには、原作であるアニメ映画を見ておくのもいいかと思います。
もしくは、実写映画を見たあとに、アニメ映画を見るというのもおすすめです。
アニメ映画『秒速5センチメートル』は、amazonプライム・ビデオで見放題配信されています(2025年10月現在)。

秒速5センチメートル
→松村北斗さん、松たか子さんダブル主演の『1ST KISSファーストキス』紹介記事はこちら
→『1ST KISSファーストキス』のネタバレ全開感想・考察記事はこちら


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