※この記事は、映画『劇場版 ムーミン谷の彗星』をこれから見る方へ向けた紹介&ちょこっと感想です。
予告や公式サイトでわかる程度の展開には触れていますが、映画の結末や重大な展開には触れていない、ネタバレなし感想になります。
どんな作品なのかを知りたい方は、ぜひご覧になってください。
この記事で、この映画に興味を持ってもらえたら嬉しいです。
※この映画は「原作者トーベ・ヤンソン生誕100年(2014年)&原作シリーズ出版70周年(2015年)」のムーミン・イヤーである2015年に日本で劇場公開された作品の再上映(リバイバル)です。
2025年10月24日から(10月30日まで、または11/6までの期間限定)、新宿ピカデリーほかイオンシネマ系列の映画館中心にリバイバル上映されています。
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映画『劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション』|基本情報・スタッフ・キャスト
『劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション』(2010年/日本公開2015年/再上映2025年)
英題:Moomins and the Comet Chase
原作:トーベ・ヤンソン「ムーミン谷の彗星」(講談社刊)
制作国:フィンランド・ポーランド・オーストリア(2010年)
言語:英語
制作:トム・カーペラン
監督:マリア・リンドバーグ
主題歌:ビョーク
オリジナル・アニメーション監督:ルツィヤン・デンビンスキ
キャスト(声の出演):アレクサンダー・スカルスガルド、ステラン・スカルスガルド、マッツ・ミケルセン、ほか
上映時間:75分
配給:Child Film、kinologue
→映画『劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション』の公式サイトはこちら
『劇場版 ムーミン谷の彗星』のあらすじ|ムーミントロールとスニフの冒険
ある朝、ムーミントロール(声:アレクサンダー・スカルスガルド)が起きると、ムーミン谷のすべてが灰色になっていた。
哲学者のジャコウネズミ(声:テレンス・スキャンメル)に聞くと、空から恐ろしい彗星が落ちてくるからだと言う。
それを聞いて、ムーミントロールとスニフ(声:マッツ・ミケルセン)は震え上がる。
ムーミンパパ(声:ステラン・スカルスガルド)とムーミンママ(声:キャスリーン・フィー)に相談すると、おさびし山の天文台へ行って天文学者に彗星のことを聞いてみてはどうかとアドバイスをもらう。
天文台へ向かうことにしたムーミントロールとスニフは、ムーミンパパと一緒に作ったいかだに乗って、天文台を目指す。
途中で出会った旅人のスナフキン(声:ピーター・ストーメア)に事情を話すと、スナフキンも天文台へ同行することになる。
川を下り、山を登り、天文台を目指す3人は、道中でさまざまな困難に見舞われる。
そうしてようやく辿り着いた天文台で、天文学者から聞かされたのは、「あと4日と4時間4分44秒後に彗星がやってくる」という恐ろしい話だった……
『劇場版 ムーミン谷の彗星』の感想|フェルトのパペットが繰り広げる北欧ファンタジーの魅力
すごくかわいくて面白くて、示唆に富んだ物語でした。
とても面白かったです。
なんといっても、パペットアニメーションのかわいい見た目と動きがいいです。
体は立体というか、羊毛フェルトみたいな見た目なんですが、手足がフェルトそのもので、それがぴこぴこ動いているのがめちゃめちゃかわいい。
そんなかわいい見た目と動きのパペットたちが大冒険を繰り広げるので、その演出方法や表現がすごく面白くてよかったです。
ストーリーは一言でいうと「ムーミン谷から天文台へ行って、帰ってくる」というものなんですが、その道中にいろいろな大冒険が起こるので、ハラハラドキドキして目が離せませんでした。
ムーミン谷ののどかな風景。
いかだで川を下るスリル。
テントを張って旅をしているスナフキンとの出会い。
おさびし山のてっぺんにある天文台への険しい山道。
天文台で彗星の衝突に関する計算に忙しい天文学者たち。
刻一刻と迫ってくる彗星のおそろしさ。
それらをパペットアニメーションで表現しているというのが、本当にすごくよかったです。
のどかであり、おそろしくもあるという、相反するものが同時に存在する感じを演出するのに、パペットアニメーションは最適の表現技法だなと思いました。
あと、ムーミンとスナフキンの出会いが、この『ムーミン谷の彗星』だった、ということを知らなかったので、「そうなんだ〜!?」って思いました。
地球に彗星が落ちてくる、という大災害に立ち向かうための冒険を一緒にしたからこそ、2人は親友になったんだな、と納得できたのもよかったです。
フェルトの質感が愛らしい「パペット・アニメーション」とは?
パペット・アニメーションは、人形(パペット)を使用するストップモーション・アニメーションの一種です。
粘土・布・フェルトなどで作られたパペットを、一コマ(フレーム)ごとに少しずつ動かして撮影し、それを連続して編集することで、まるで人形が生きて動いているかのようにみせつ表現技法です。
一つのシーンに膨大な時間がかかる技法ですが、CGでは表現できない独特の立体感や、素材の持つ温かい質感、そしてアナログならではの「動きの味」が大きな魅力です。
本作で使われているフェルト素材のパペットは、原作者トーベ・ヤンソンがパートナーのトゥーリッキ・ピエティラと制作した発泡スチロールの人形がモデルとなっていて、「ムーミン」の世界観を忠実に再現しています。
ムーミン谷の柔らかで穏やかな世界を表現するのに最適なフェルトの人形が、その愛らしくかわいらしい挙動に一役買っているのです。
みどころ:豪華な制作陣とキャスト|ビョークの主題歌とマッツ・ミケルセンら北欧の才能
この作品は、1978年〜1982年にポーランドで製作されたTVシリーズを、カラー修正・再編集して長編映画としてよみがえらせたものになります。
フェルトの愛らしいパペットたちが動いている様子は必見です。
しかし、この映画の見どころは、それだけではありません。
オープニングで流れる主題歌『The Comet Song』を歌うのは、トーベ・ヤンソンと彼女の作品の大ファンだというアイスランドの歌姫・ビョーク。
映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(ラース・フォン・トリアー監督)で主演・音楽を担当したことで有名です。
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』は私の中で、あまりの衝撃に一回見たら二度目を見ることが難しい映画No.1(ちなみにNo.2は『ライフ・イズ・ビューティフル』)なんですが、この映画でのビョークの演技と歌は忘れることができません。
また、豪華な声優陣にも注目です。
北欧の俳優さんに詳しくない私でも、“北欧の至宝”マッツ・ミケルセンは知っています。
というか、映画ファンでマッツ・ミケルセンを知らない人はいないですよね!
そのマッツ・ミケルセンが、ムーミントロールと一緒に旅にでるスニフの声を担当しています。
他にも、私は存じ上げませんが、ナレーションを名優マックス・フォン・シドーが担当していたり、ムーミンパパとムーミントロールを、ステラン&アレクサンダー・スカルスガルド親子が演じていたりと、北欧ファンなら知る人ぞ知る才能の持ち主たちが大集結しています。
世界的に有名なビョークやマッツ・ミケルセン、そして北欧の才能ある人々が作り上げたパペット・アニメーション『劇場版 ムーミン谷の彗星』は、「ムーミン」という作品やトーベ・ヤンソンのファン以外の人にも、おすすめです。
『劇場版 ムーミン谷の彗星』まとめ|単なるかわいい物語ではない、奥深いテーマ性
彗星がムーミン谷に落ちてくるかもしれない、という不穏な幕開けで始まるこの物語は、かわいらしいファンタジーの枠にはおさまりきらない作品です。
世界が終わるかもしれないというときに、何を考え、どう行動するのか?
この物語では「彗星が衝突する」という不安が襲ってきますが、現実世界でも、私たちは地震や自然災害などと対峙していかなくてはなりません。
そのような、自分1人の力ではとても立ち向かえないものが迫ってくるとき、どうすればいいのか?
ムーミン谷の人々、とくにムーミン一家は、どんなときでも明るさとユーモアを忘れることはありません。
その行動や考え方には、ホッとしたり、感心したり、ほんわかしたり、勇気づけられたりします。
かわいくて面白いだけじゃなく、見た人の心にさまざまなものが残る『劇場版 ムーミン谷の彗星』を、再上映中にぜひ映画館でご覧になってください。
『劇場版 ムーミン谷の彗星』の配信情報(2025年10月現在)/DVD・blu-ray
『劇場版 ムーミン谷の彗星』は、各配信プラットフォームで配信されています。
リバイバル上映中に映画館で見ることのできる方には、映画館での鑑賞をおすすめしますが、上映地域ではないという方、情報を知ったときには上映が終了していたという方もいらっしゃると思います。
以下に主な配信情報を掲載しますので、参考になさってください。
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劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション(字幕版)

劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション(吹替版)
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