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インド映画『JAWAN/ジャワーン』のマサラ上映に参加しました①

日々のできごと

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「マサラ上映」の魅力

「マサラ上映」というものを、ご存知でしょうか?

私の大好きなインド映画、『RRR』風に言うなら、こうですね。

「マサラ上映をご存知か?」

インドは知る人ぞ知る映画大国です。

超人気俳優の新作映画が公開されると、人々は映画館へ詰めかけ、上映される映画に対して、俳優の登場に声援や歓声を送り、歌と踊りにタンバリンや鈴を鳴らし、手拍子をし、時には一緒に踊り出し、見せ場のシーンでは拍手が起こり、と、観客が一体となって、まるで人気歌手のライブ会場のような盛り上がりを見せます。

これはインドでの映画鑑賞で日常的にみられる光景です。

席に座って静寂の中で映画を見る、という日本の常識からするとびっくりしますが、インド映画には、その鑑賞スタイルが似合うポテンシャルがあります。
なので、インド映画を好きになればなるほど、思うのです。

インドの人たちのように、歓声をあげたり拍手をしたりしながら、この大好きな映画を見たい……!
と。

このインド式上映を日本の映画館で行うことを、「マサラ上映」と呼んでいます。

ということで、インド映画『JAWAN/ジャワーン』でマサラ上映が行われると知り、参加してきました。
マサラ上映は初参加でしたが、めっちゃくちゃ楽しかったので、その様子を報告したいと思います!

ケララ州北部マラバール地方の名物、マラバールビリヤニ

初めてのマサラ上映に臨むにあたり、気合を入れようと、その日のランチは南インド料理店でチキンビリヤニを食べることにしました。

ケララ州北部のマラバール地方の名物米料理、マラバールビリヤニです。
南インドの定食であるミールスを提供しているお店で、土曜日だけビリヤニが出されているのです。

→ミールスの紹介記事はこちら

週替わりでマトンとチキンを提供していて、この日はチキン。
私はマトン(羊肉)が食べられないので、食べることができるチキンのビリヤニを非常に楽しみにしていました。

ビリヤニは、スパイスで具材とお米を炊き上げた、いわゆる炊き込みご飯です。
めでたい席やお祭りでよく食べられるのだそうです。

ヨーグルトに刻んだ野菜を混ぜた「ライタ」、野菜のアチャール(漬物、ピクルス)を混ぜて食べます。
このお米の下に、チキンが隠れています。

食べすすめていったらチキンが出てきましたが、見た目が「食い散らかしている」ようにしか見えなかったため、その状態の写真は撮っていません。

土曜日ということもあり、席が空くのを待っているお客さんが何人もいるため、食後に飲もうと思っていたチャイをテイクアウトにしました。
そのチャイを飲みながら、車を運転して、マサラ上映が行われる映画館へ向かいました。
上映自体は17時20分からなのですが、入場整理券を配布しているとのことだったので、整理券をもらいに行ったのです。

整理券をもらうために映画館へ

この映画館は、普段は全席指定席です。
しかし今回のマサラ上映では、通路側の席の人は踊っても良いなど、自由度が高く、指定席だと参加しづらいためか、全席自由席となっていました。
そのための、整理券配布です。

ここはいわゆるミニシアターで、座席数は80くらいです。
シネコンとは違う、小さい映画館なので、前の席に人が座っていると、その人の頭でスクリーンが見えなくなってしまいます。
なので、なるべく前の方の席に早めに座りたいと考え、整理券をゲットしに行きました。

13時すぎに映画館へ到着し、もらった整理券の番号は「9」。
マサラ上映は「通常通りに静かな環境で映画を楽しみたい」人には不向きな上映スタイルなので、満席にはならない感じのようでしたが、それでも上映開始まで4時間くらいあるのに、私の前に整理券もらってる人が8人もいるんだ、と思いました。

気合の入り方が違います。

まだ見ぬ同志(?)に尊敬の念を抱きつつ、17時20分からの上映にはまだまだ時間があるので、この日のもう一つの目的である、『宇宙遊泳(A Space Walk 2025)』という、インクと文房具のイベントへ行きました。
Tono&Limsという、万年筆やガラスペン用のインクを作っている、インクブランドさんが手がけるイベントです。
このイベントについても報告したいので、別記事にしようと思っています。

マサラ上映と、マサラ映画

イベントから退出したあとは、しその実おにぎりをおにぎり屋さんで購入し、3時間の上映に備えることにしました。
お昼に食べたチキンビリヤニがまだまだ胃を占拠していて、そんなにお腹は空いていません。
それでも上映終了は20:40の予定ですし、そのあとに劇場の後片付けを手伝う予定なので、何かお腹に入れておいたほうがいいと思っての、おにぎりの選択です。

マサラ上映の開場は17:05で、上映開始は17:20。
途中に一回インターバルを挟み、上映終了は20:40の予定です。

上映終了後は、紙吹雪やクラッカーなどで劇場内が大変に散らかっている状態になっているので、これを参加者で片付けます。
この、後始末をするまでが、マサラ上映です。

ちなみにマサラ上映の“マサラ”ってなに? と思う方へ向けて、ちょこっと解説すると、カレーに入れるスパイスに、ガラムマサラというのがありますよね。
マサラとは、ヒンディー語(北インドで話されている言語)で“スパイス”“香辛料”を意味します。

ガラムマサラは、いろいろなスパイスが混ざっているものを指します。
それと同じように、いろいろな面白い要素がギュッと詰まっている映画のことを、インドではマサラ映画と言ったりします。

例えるなら、幕の内弁当や、全部乗せラーメンのような感じです。
すべてがバランスよく詰まっている。
どこを食べてもおいしい。

つまり、マサラ映画と言われる作品は、“誰もが楽しめるポイントが必ずある”映画だと言えます。
難しいことは考えずに楽しめる、元気が出るエンターテインメイト作品です。

“マサラ”とは、インド映画のパワフルな魅力を象徴するような言葉なんです。
インドで行われている観客参加型上映のことを、日本でマサラ上映と呼ぶのは、本当にぴったりだと思います。

今回の「マサラ上映」で決められていたルール

今回のマサラ上映には、劇場側から示されている“ルール”がありました。

  • 歓声はOK。奇声や罵声、野次、ネタバレになる声かけはNG。
  • 紙吹雪、クラッカーOK。
  • タンバリン、鈴を鳴らす、指笛を吹くのはOK。
  • 手拍子、拍手OK。
  • 映画に関連するコスプレOK。
  • 通路側(座席の両脇)、最後尾列の後ろ(普段は立ち見用のスペース)で踊ってもOK。それ以外の席での立ち上がり、その場での踊りはNG。踊りたいなら、OK席に座るように。
  • インターバル後、席の移動OK。自由席だし、満席ではないので、好きな席に座ってよい。上映中は席の移動はしないでください。
  • 上映終了後、床に紙吹雪等が散乱しているので、後片付けを行う。参加できる人は参加してください。

この“ルール”は、その劇場ごとに違うようです。

紙吹雪に関しても、使う紙の種類や大きさなど、決められていることが多いです。

紙吹雪と聞いてイメージするのは、折り紙のような紙を細かく切ったものだと思います。
しかしそれでは後始末(掃除)が大変なので、お花紙を大きく切ったものを使うのが一般的なルールのようです。

お花紙というのは、重ねて折り畳んで、紙を一枚一枚広げていくと花のような見た目になるという、行事のときに装飾に使う紙のことです。
今回は、それを5~6センチ×7~8センチくらいの大きさに切ったものを、紙吹雪として使用していました。

インド映画ならではの、「インターバル」文化

ちなみにインターバルとは、簡単に言うと、休憩です。

舞台演劇やフィギュアスケートのアイスショーをご覧になったことがある方はわかるかと思いますが、第一部と第二部に分かれていて、途中に休憩時間がありますよね。

インドでは、それと同じことが映画館で行われているのです。

インド映画は、上映時間が長いことも特徴の一つです。
近年日本でヒットしたインド映画と言うと、『RRR』を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
この『RRR』の上映時間は179分。
ほぼ3時間です。

『RRR』自体は、3時間という長さを感じさせない面白さと構成ですが、映画で3時間というのは、普通に考えると長いです。
トイレが心配になる方もいるでしょう。

この3時間というのは、「どう編集しても3時間という長尺になってしまった」のではなく、「最初からその長さを想定して作られている」というのが正解かなと思います。
インドでは、映画は3時間くらいの長さがあるのが普通なのです。

とはいえ、インドの人たちも、3時間は長いと思っています(多分)。
なので、映画の途中で、休憩時間があるんです。
その休憩時間のこと、もしくは休憩時間に入る目安を表すことを、インターバルと言っているようです。

『RRR』にも、上映途中で「INTERRRVAL」という言葉が画面上に出てきました。
インド本国では、これが休憩の合図です。

ここで一回上映が中断し、観客は前半(第一部)の感想を話したり、後半への期待を高めたり、ロビーでちょっと軽食を食べたり、トイレへ行ったりするのです。

日本ではそういう文化がないということもあって、インターバルの表記が上映途中に出てきても、そのまま上映が続きます。
消防法などの規定により、映画の途中に休憩時間を挟むことが難しいという理由もあるようで、日本では休憩なしのぶっ続け上映になっているようです。

※劇団☆新感線の舞台演劇を映画館で上映する「ゲキシネ」で、『髑髏城の7人』を観たときは、元が舞台演劇で第一幕と第二幕の間に休憩があるから、映画館でも途中休憩がありました。

参加者の皆さんと、ちょこっと交流

開場は17:05でしたが、少し早めに16:45くらいに映画館の前へ行きました。

立体駐車場のビルの1階に入っている単館の映画館なので、ロビーは映画館の外にあり、駐車場へ続くエレベーターと階段への通路も兼ねています。
そこに、すでに何人かの参加者の皆さんが集まっていました。
なぜ参加者とわかるのかというと、映画の登場人物の、コスプレをしていたからです。

すごい!
コスプレをしている!

と興奮しましたが、人見知りゆえに知らない人に自分から話しかけるということをしない私は、隅の方でひっそりと映画のチラシなどを眺めていました。
すると、映画の登場人物の格好をしたぬいぐるみを持った女性に、話しかけられました。

「マサラ上映に参加されるんですか?」
「はい」
「今日はよろしくお願いします」
「あ、はい。よろしくお願いします」

あとでわかったのですが、この方はマサラ上映のために全国を駆け巡って7年になるという、猛者中の猛者でした。

そのあとも、2人の女性に話しかけられました。
お一人からは、ティーバッグを。
(本当はイラストも入っていましたが、SNSでのお名前が書いてあったので、抜いてあります)

もうお一人からは、お菓子をいただきました。

マサラ上映の参加者の皆さんに、配っているようでした。

同じ映画を見る人に何かをもらう、なんて経験は初めてなので驚きましたが、マサラ上映自体が参加者一体型上映なので、こういう文化があるのかな、と思いました。

このときも、「ありがとうございます」とただ受け取るだけで、こちらから何か話しかけたりということはできなかったのですが、他の人との会話から、ティーバッグをくれた人は、このマサラ上映のために長野から来た、ということを知りました。

長野から!?
びっくりです。

マサラ上映のためなのか?
それとも、主演のシャー・ルク・カーンの熱烈なファンなのか?
多分、両方だろうな。

などと考えていると、開場時間になりました。

長くなったので、続きます!

劇場のディスプレイ。
シャー・ルク・カーン尽くし!

『JAWAN/ジャワーン』の基本情報を紹介

『JAWAN/ジャワーン』(2023年/インド/日本公開2024年)
監督:アトリー
音楽監督:アニルド・ラヴィチャンダル
出演:シャー・ルク・カーン、ナヤンターラ、ヴィジャイ・セードゥパティ、ディーピカー・パードゥコーン、ほか

2023年インドNo.ヒット作!
ボリウッドとコリウッドが完全タッグした、マサラ度200%の超大作!
“キング・オブ・ボリウッド”シャー・ルク・カーン主演、監督はコリウッド(タミル語映画界)の若手ヒットメーカー!
かっこいい女性陣と男性陣のアクションあり、歌と踊りあり、笑いあり涙あり。
娯楽としての“映画”を体現しているような作品です。

なんといっても、主演のシャー・ルク・カーンがかっこいい!
ありとあらゆる魅力が大爆発しています!
一粒で二度美味しいとは、まさにこのこと!
インド映画をよく知らない方の入門にもおすすめです!

 

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