基本情報
『GHOST KILLER』(2025年/日本・アメリカ合作)
監督・アクション監督:園村健介
脚本:阪元裕吾
音楽:森野宣彦
主演:髙石あかり
出演:黒羽麻璃夫、井上想良、東野絢香、三元雅芸、他
あらすじ
就職活動を控える女子大生に、殺し屋の幽霊が取り憑いた!?
松岡ふみか(演:髙石あかり)は就職活動を控える大学生。
居酒屋でバイトをし、将来テレビやラジオの制作に関わりたいという思いから、業界人っぽいチャラ男や怪しいインフルエンサーとのコネクションを作ろうと働きかける、忙しい毎日を送っている。
そんなある日、ふみかはアパートへ帰る途中の坂にある階段でつまづいて転んでしまう。
起きあがろうとしたときに、目の前に転がっている小さな金属物に気づき、それを拾い上げるふみか。
金属物を無意識にポケットにしまい、アパートへ帰ると、頬に殴られたあとのある友人のマホが部屋の前で座り込んでいた。
付き合っている男に殴られて行き場をなくしているらしい彼女を、部屋に招きいれたところで、部屋の中に見知らぬ男が佇んでいることに気づく。
不審者が侵入していると思い、悲鳴をあげるふみか。
しかし、マホには男の姿が見えないらしく、ふみかがひとりで騒いでいる様子を不思議に思い、戸惑っている。
「この男が見えているのって、私だけ!?」
幽霊が部屋にいる、ということを大混乱しながらも理解したふみかだったが……
感想
ということで!
普通の女子大生に殺し屋の霊が取り憑いてしまって大騒動!
という内容の『ゴーストキラー』を見ました。
すごく面白かったです!
その“面白さ”が、私的には想定外の方向からの面白さで、見ていて大興奮したので、そのことについて語りたいと思います。
見ようと思ったきっかけ:
この映画の主演の髙石あかりさんが“殺し屋役”として主演している『ベイビーわるきゅーれ』シリーズを楽しく見ていたから。
見ようと思った動機:
①『ベイビーわるきゅーれ』シリーズで殺し屋役を演じている髙石あかりさんが、普通の女子大生役で、でも殺し屋の幽霊に取り憑かれる……つまり、結局殺し屋をやるのか? それとも普通の女子大生は、殺し屋の幽霊に取り憑かれたとしても、“殺し”はしないのか!?
②取り憑かれていない状態と、取り憑かれたあとの状態の演じ分けが面白そう。
③『ベイビーわるきゅーれ』で鍛えられた髙石あかりさんの単独アクション(ベビわるでは、銃のアクションがメインで、体術とかはもう1人の主人公が主に担当している)が楽しみ、見応えありそう
見た感想:
めっちゃ面白かった!
鑑賞動機の①②③についても満足できたし。
でも、個人的な最大の面白ポイントはそこじゃなかったんです。
その期待値を上回るものがぶっこまれていて、そこにめちゃくちゃ痺れたし気持ちが熱くなりました。
それは、ふみかに取り憑いた殺し屋の幽霊である工藤(演:三元雅芸)と、工藤と同じ殺し屋組織に所属している後輩の影原(演:黒羽麻璃夫)との関係性です。
『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』という大傑作香港映画(2024年/日本公開2025年)があるんですが、この映画で描かれる男たちの絆と友情、師と仰ぐ存在への尊敬と憧憬、みたいなものが好きな人は、全員『ゴーストキラー』を見た方がいいと思います。
この映画に、信一(ソンヤッと読む。日本名にも読めますが、中国名です)という人が出てくるのですが、ソンヤッを好きな人は影原さんのことも好きになる、多分絶対。
なんか顔の印象も似てるし。
影原さんは工藤さんの後輩で、体術では工藤さんに勝てなかった。
勝てないまま、工藤さんは死んだ。というか、殺された。
殺されて幽霊になり、自分を殺した銃の薬莢を、ふみかがたまたま拾った(階段で拾った小さな金属物)ことで、ふみかに取り憑くことになったわけですが、いろいろあって工藤さんは影原さんに連絡を取ることになります。
影原さんは工藤さんが死んだことを知っているので、当然ふみかをいぶかしみます。
このときのやりとりもいいんです。
工藤さん曰く、「影原は笑わない男」。
その通りのドライで冷徹、人を殺すことをなんとも思っていない、同じ殺し屋でも工藤さんは人間臭いところがある(幽霊だけど)のに、影原さんは人の話を聞かないタイプで殺しも全然ためらわなさそう、という第一印象なんですが。
影原さんにとって、工藤さんは、生きている間に決して勝つことのできなかった、殺しの先輩。
「大嫌いです」と公言してはばからないし、会話をすれば憎まれ口しか叩かない。
でも、ふみかを通じて工藤さんと話をしたりしているうちに、ふみかに言われるんです。
「あんた、工藤のこと大好きじゃん」
もちろん影原さんは「大嫌いです」と反論しますが……
映画を鑑賞している私でさえ思いますよ、「いや、大好きだよね?」
そしてそう感じたことが正しかったとわかるシーンがいくつも展開されるので、すごく気持ちが熱くなりました。
凄腕の殺し屋だった工藤さんが殺された理由。
誰が彼を殺したのか。
その事情が明かされていくにつれ、見ているこちらも胸がいっぱいになっていきます。
まさか殺し屋映画でこんな切ない気持ちになろうとは。
想定外の方向から素晴らしいものをお出しされたので、本当に見に行ってよかったです。
ふみかは工藤さんの姿が見えて、声も聞こえる。
そして触ることもできます。
お互いに手を握ると、工藤さんはふみかに文字通り憑依し、ふみかの体を操ることができるようになるのです。
華奢な外見の女子大生が、プロの殺し屋と渡り合えるくらいにめっちゃ強い。
体術はもちろん、銃の腕前も超一流です。
そのギャップがいいし、“女子大生のふみか”と、“工藤さんに憑依されている状態のふみか”が、表情と目力が全然違うところがすごくよかったです。
つまり、髙石あかりさんは一人二役を演じているわけなんですね。
その演技の違いが、とても良かったです。
殺し屋映画なので、人がばんばん殺されたりします。
なので、そういうのが苦手な人にはおすすめできないです。
でも、フィクションと割り切れる、女子のアクションが見たい、男子のアクションも見たい、バディものが好き、お互いに背中を預けて戦う男たちが好き、であれば、『ゴーストキラー』、激推しです。
特に、“お互いに背中を預けて戦う男たち”が大好物な人は、絶対見ましょう。
本当に、すごく面白かったです!
※『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』の感想記事はこちら
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