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【映画紹介】アバウト・タイム 愛おしい時間について【リバイバル上映】

映画の紹介と感想

※この記事は、この作品をこれから見る方へ向けた紹介&ちょこっと感想です。
予告や公式サイトでわかる程度の展開には触れていますが、映画の結末や重大な展開には触れていない、ネタバレなし感想になります。

どんな作品なのかを知りたい方は、ぜひご覧になってください。
この記事で、この映画に興味を持ってもらえたら嬉しいです。

基本情報

『アバウト・タイム』(2014年/イギリス)
監督:リチャード・カーティス
出演:ドーナル・グリーソン、レイチェル・マクアダムス、ビル・ナイ、リディア・ウィルソン、ほか

あらすじ

彼女(恋人)なしで21歳の誕生日を迎えたティム(ドーナル・グリーソン)は、父親(ビル・ナイ)から「大切な話がある」と切り出される。
一族の男性にまつわる重大な秘密として話された内容は、「ティムの一族の男性は過去へのタイム・トラベルができる」というものだった。

信じようとしないティムだったが、タイム・トラベルのやり方を教えてもらい、実行してみることに。
するとティムは、散々な思い出の残る大晦日のパーティーの時間へと戻っていた。
タイム・トラベルの力が本物であることを知ったティムは、この力を使えばうまくいかなかった恋のやり直しができるのではないかと考えるが……

ちょこっと感想

タイム・トラベル(タイムリープ)ものが好きなのですが、この映画は見たことがなかったので、リバイバル上映があることを知って、映画館へ観に行きました。

観に行ってよかったーーー!
映画館で見ることができてよかった、と思う映画はたくさんありますが、この作品もそのひとつです。

映画館で映画を見ることの何がいいって、物語に没入できるというところです。

ティムの選択や行動にハラハラしたり、笑ったり、心配したり、同じように悲しくなったり。
まるで自分がその体験をしているかのように、集中して物語を追うことができる。

だからこそ、最後のティムの独白に、ものすごく胸を打たれるんです。

「聞いた言葉」が「自分の体験」に変わる瞬間

物語の最後に語られるティムの独白の内容については、この映画の感想とともに、人から聞いたことがありました。

そんな素敵な考え方があるのか、そういうふうに思って生きていけたらすごくいいな。

と、ティムが言ったというセリフを聞いたときに思いました。
でも、そう思いはしたものの、それは実感の伴わないものでした。

「ただ人から聞いた、もっともらしい名言のようなもの」として、記憶の片隅に残っただけ。
片隅に残るくらいにはインパクトのあるセリフですが、「いいこと言うねー」くらいの感想しか持たない感じです。

それが、この映画を映画館で見て、ティムの考え方や選択や行動を一緒にハラハラしながら見守ったあとで聞いたセリフは、意味も重みもまったく違って聞こえました。

ティムの人生を見守ってきたからこそ、ティムがどう感じているのかがわかる。
どういう気持ちで、このセリフを言ったのかがわかる。

ティムの感じている気持ちが、私にダイレクトに伝わってくる。
そしてそれが、“今日という、二度と過ごせない一日”をどう捉えるか、どう過ごすかという、自分の指針となる。

映画を見ることは“体験”である

自分ではない、誰か他の人が言った言葉が、自分の血肉となる。

それが体験できたのは、この映画を“見た”からだと思います。

あらすじを聞いただけでは、実感できない。
事細かに物語を細部まで説明されたうえで、そのセリフを聞いたとしても、“実感”はできないんです。

なぜなら、“体験”していないからです。

実際、私はこの映画を見る前に、「アバウト・タイムという映画の主人公がこんなことを言っていて~」という話を、人から聞いて、素敵な考え方だな、と思いました。
ですが、そのときにそう思っただけで、それは私の血肉にはなりませんでした。

映画を見るということは、“体験”である。

ずっとそう思っているし、だからこそ映画が大好きなんですが、『アバウト・タイム』を見て、その思いをあらたにしました。

実際に自分で映画を見なければ、この“体験”はできません。
配信などでも見れると思うので、それでもいいですが、個人的には映画館での鑑賞をおすすめします。
2025年7月3日までリバイバル上映していますので、映画館へGO! しましょう。

タイム・トラベル(タイムリープ)ものとしての面白さ

ティムたち(ティムと、ティムの父親)のタイム・トラベル能力は、過去にしか行けないという制限があります。
未来へは行けません。
しかし、過去へ行くことで、“未来(現在)”を変えることができます。

過去の上書きができるんですね。
上書きというより、微調整なので、リライト(表現の書き直し)かもしれない。

過去に戻り、行動を変えると、現在が“過去へ戻る前”と少し変わる。
変わった“現在”の中から、最善と思われるものを、“現在”として固定する。

ティムのタイム・トラベル能力の使い方は、基本これですね。

トライ&エラーが生むドラマ

ティムはバーでメアリー(レイチェル・マクアダムス)と出会い、恋に落ちたけれど、同居人の脚本家の舞台劇が大失敗した“現在”を大成功に変えた結果、メアリーとの出会いがなくなってしまいました。
もう一度メアリーと出会うために、ティムは何度も過去へ戻ります。

このエピソードは予告で知ることができるので、ネタバレに該当しないと思って語りますが、この“現在”を変えるためにティムが何度もトライ&エラーをする様子は、とても面白かったです。

タイム・トラベル(タイムリープ)ものは、やっぱりこのトライ&エラーが楽しいんですよね。
同じようで全然違う展開を、何通りも見ることができる。
そこでくすっと笑ったり、切なくなったり、愕然としたりという、普通に生きていたら決してできないトライ&エラーを疑似体験できるところが、タイムリープものの醍醐味だと思います。

メアリーとの出会い直しからわかる、ティムの優しさ

舞台劇を成功させたら、メアリーとの出会いがなくなってしまった。
だからといって、ティムは“舞台劇は失敗したが、メアリーと出会った過去”には戻らなかった。

舞台劇を成功させた上で、メアリーと出会い直すために努力する、という選択をティムがしたのが、とてもよかったです。

一見ぱっとしないかもしれないけど、優しくて誠実で、ユーモアもある。
ティムがそういう人物だということがわかるので、彼の行動を応援できます。
応援(感情移入)できなければ、ティムの最後の独白だって、胸に迫ってきませんからね。

父親もタイム・トラベラーであることの意味

あと、この物語では、ティムだけでなく、ティムの父親もタイム・トラベルができます。

ティムの一族の男性はタイム・トラベルができる。
そう語った父親も、当然タイム・トラベルができるわけです。

つまり、タイム・トラベルができる人物が、同じ時空に2人いるんです。
これも、とてもよかったです。

この“とき”のティムは、父親は、どの時空の人なのか?
現在なのか、それとも過去から来たのか。
描写で“いつ”の人なのかがわかるところもあれば、わからないところもあります。

それを考えながら見るのも楽しいし、タイム・トラベルができるからこその描写に胸が締め付けられたりもしたので、タイム・トラベル能力が単なる舞台装置じゃなく、人生を彩るためのちょっとしたスパイスとして描かれているところが、とてもよかったです。

愛おしさを描く人間関係と人物描写

ティムと、彼を取り巻く人々の描写も良かったです。

ティムとメアリーが、いつまでも微笑ましくかわいいカップルで、末長く幸せでいてほしいと感じるところ。

ティムと父親の、親子としての絆だけじゃない、秘密を共有する男同士として、いたずらをたくらむ悪ガキみたいな感じがするところ。

ティムと妹・キットカット(リディア・ウィルソン)との、仲の良い兄妹としてのやりとりや、ティムがキットカットを心配している描写。

ティムの周囲にいるのは、愛おしさを感じる人々ばかりです。
それはきっと、ティム本人が、愛おしさを感じさせる人物だからでしょうね。

この映画の邦題(サブタイトル)に『愛おしい時間について』とついているのは、時間の大切さや愛おしさについての物語だから、というだけじゃなく、出てくる人物がみな愛おしく、彼ら彼女らが過ごす時間を視聴者である私たちも愛おしく思うところから来ているんだろうなと思います。

タイム・トラベルを題材にしながらも、描かれているのは私たちの日常にも通じる、かけがえのない“時間”の大切さです。
見終わったあと、自分と、自分の大切な人たちの毎日を、あらためて見つめ直したくなるような作品だと思います。

ぜひ、リバイバル上映されているこの機会に、『アバウト・タイム 愛おしい時間について』をご覧になってみてください。

 

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