※この記事は、『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』のネタバレ全開感想を、同じ熱量の友人に話すような気持ちで書いています。
ある意味で日記みたいな感じですが、この映画が好きなら読んでもらえると嬉しいです!
※そんなにネタバレしてない、一般向け感想
その拳を受けた者は、竜巻に巻き込まれたかのように回転しながら吹っ飛ばされていく。
人々は彼を“龍捲風”と呼んだ━━━
龍兄貴のかっこよさが最初から最後までブレない件について
まず、竜巻を起こすというのがかっこよすぎる。
拳が竜巻を起こすだけじゃなく、彼自身が竜巻のようです。
陳占と戦っているときの、旋回する風のような動き。
そしてなにより、クライマックスでの王九との戦いのときに、洛軍を天高く持ち上げた、あの竜巻。
あれ、龍兄貴でしょ!?
龍兄貴が帰ってきて、洛軍を、信一を、四仔を、十二少を、助けてくれたんだよね!?
だって盂蘭盆だから!
お盆だから、龍兄貴は帰ってきてるんだよ!
それでみんなを助けてくれたんだよ!
龍兄貴ーーーーーー!
生き続けることを諭す龍兄貴のふところが大きすぎる
王九にぐさぐさ刺されながらも必死に耐えて、苦痛の表情を見せないようにし、信一に微笑んで見せるところとかも、かっこよすぎませんか!?
めちゃくちゃ切なくて悲しいシーンなのに、「か、かっこいい……!」と思ってしまう。
そのシーンの前の、アコーディオンカーテンのような金属製の扉をゆっくりと閉めていくところとか。
扉の取っ手に腕を入れて、開けられないようにするところとか。
命を賭けて洛軍たちを、信一を守ろうとしている姿に、めちゃくちゃ胸が熱くなります。
龍兄貴ーーーーーー!
洛軍も信一も四仔も十二少も、そりゃこの人のこと大好きだよなとわかる、切なさで心臓がぎゅうっとなるシーンです。
義兄弟の絆とはまた別の、親愛と友情
陳占とのエピソードがまたいいんだよなあ。
義兄弟とはまた違う、親友のような感じでしょうか。
中国における義兄弟というと、三国志演義の桃園の誓いを思い出すけど、固い絆で結ばれた仲間、というイメージです。
友人ではない。
仲間と友人って違うよね。
同じ目的や目標を持ち、協力し合い助け合うのが仲間。
こころざしが違っていても、同じ道を歩けなくても、一緒に人生を歩んでいけるのが、友人。
仲間は目的を達すれば分かれることもあるけれど、友人は分かれることはない。
会えなくなっても、どちらかが死んだとしても、友人は友人。
龍兄貴と陳占の間にあったのは親愛と友情で、義兄弟の絆とは違うものだと思う。
そういう相手と死闘を繰り広げなければならなかった二人の気持ちを考えると、とても切ないです。
漢の中の漢
「俺が死んだら、妻と子を頼む」と言った陳占。
「俺が死んだら、理髪店を継いでくれ」と言った龍兄貴。
どう考えても、これは陳占が負けるフラグですよ。
このときに、冗談めかしたことを言う龍兄貴の、極限状況でもゆとりを失わないところがまたいいですよね。
目隠しをして、見えない状態で戦うことを提案したのは陳占だった。
多分そうしなければ龍兄貴と本気で戦えなかったし、龍兄貴も本気を出せないままで、どちらかが勝つのではなく、どちらも死んでしまう結末になったかもしれない。
それを回避するためにも、目隠しをしたんだろうな。
そして、龍兄貴が勝った。
陳占の妻子を秘密裏に逃して、約束を守った。
逃げた先で陳占の妻は死んでしまったけど、子供は成長して香港に戻ってきた。
そうと知ったら、龍兄貴は洛軍を見捨てたり見放したりはしないよね。
だって、約束したから。
「俺が死んだら、妻と子を頼む」と、言われたから。
だから、龍兄貴は最後まで洛軍を守ったんですよ。
盂蘭盆に帰ってきてまで、親友との約束を守ったんですよ!
これを漢と言わずになんと言う!?
龍兄貴こそ、漢の中の漢です!
字幕版と吹き替え版、そして最終上映
字幕版を見て、もう1回見ようと思ったら吹き替え版しか上映してなくて、吹き替え版を2回見たんですが、龍兄貴のかっこよさはどちらも甲乙つけ難いですね。
吹き替え版の声と話し方、語りかける口調とか、すごくいい。
でも、字幕版は字幕版ですごく良かったんです。
龍兄貴はもちろんなんだけど、四仔が、ここぞというときに日本語を使うのに、すごく痺れました。
「マイクを音声端子に繋ぐ」もいいし、「ぶっ殺してやる!」もいい。
吹き替え版だと、ここの日本語の効果、けれん味がなくなってしまっていたのが、ちょっと残念でした。
ただ、字幕版→吹き替え版の順に見たのは正解だったな、と思います。
字幕版はこの映画の本来の姿だから、かっこよさをそのまま受け取れたし、一度鑑賞した状態で吹き替え版を見ると、話の筋がわかりやすくなって良かったです。
この映画は映画館の大スクリーンで見ると迫力が増す、大画面で見なきゃ損だと思うので、上映最終日にもう1回見に行きました。
字幕版はすでに終了しているので、これが2回目の吹き替え版です。
上映最終日の客層、男女比2:8だった。
お客さん、ほぼ女性だったけど、まあ当然と言えば当然ですよね。
龍兄貴がかっこよすぎるし、洛軍たち4人の友情と絆が熱すぎるし、信一が強くて色男でかっこよすぎるし。
王九に引導を渡すとき、洛軍がやろうと思えばできたのに、信一に譲るというか託したところ、ぐっときました。
龍兄貴の仇は、信一が取らなきゃね。
言葉でなく視線で気持ちを語り合い、通じ合っているのが、めちゃくちゃかっこよかったです。
憎しみですべてを失った男の悲哀と、憎しみを手放す若者
そして最初はある意味で敵役にも見えていた秋兄貴が、最初から最後まで切ないんだよなあ。
この物語で、この人が一番かわいそうだよ。
妻と子を陳占に目の前で殺され、義兄弟である龍兄貴に裏切られ(厳密には別に裏切ってはいない。龍兄貴は陳占の息子を殺すことを秋兄貴に誓っていたわけではないと思う)、怒りに任せて大ボスと組み、洛軍を殺しに行ったことで龍兄貴を失い、妻子を殺されたときのように閉じ込められて。
解放されるとき、まず幻の陳占の姿を見て怒りと憎しみを覚え、それが龍兄貴の姿に変わったことで、気持ちが凪ぎ、失ったものが二度と戻らないことを実感し、そして龍兄貴の姿が洛軍に変わるという演出、憎しみは何も生み出さずただ虚しいだけ、ということが痛切に表現されていて、心に沁みました。
秋兄貴は、妻子を失い、陳占を憎み続けることで生きてきて、憎しみという執着から逃れることができなかったために、信頼していた義兄弟の龍兄貴を失った。
すべてを失ってしまったのって、この人だよね。
上の世代のことは、下の世代に引き継がせるな。
龍兄貴の言う通りだよ。
憎しみを手放すことができれば、少なくとも龍兄貴をあんな形で失うことはなかったのに。
でも、妻子があんな殺され方したら、そりゃあ憎み続けるよなあ。
だけど子供は本当に関係ないですからね。
龍兄貴が陳占を倒したことで気持ちが収まればよかったのに、自分の子供を殺されたから、陳占の子供も殺さなければ釣り合いが取れない、って思ったんだろうな。
秋兄貴を解放した洛軍は、秋兄貴に対する憎しみを持っていなかった。
龍兄貴が死んだのは、秋兄貴が憎しみを捨てることができなかったからだとわかっていたけれど、それでも憎むのをやめた。
憎しみを持ち続ければ、いつか大切なものをすべてを失ってしまう。
それが痛いほどわかっているからこそ、洛軍は憎しみを手放したんだろうな。
秋兄貴に報復したところで、龍兄貴は戻ってこない。
魂は盂蘭盆で帰ってきて、竜巻となってみんなを助けてくれたけど、生き返ることはないわけです。
洛軍はそれをわかっているから、憎しみの連鎖を断ち切ることができた。
憎しみを持たずに生きていけるなら、そのほうが絶対にいい。
時代の終わりと、変わっていく街と、それでも変わらないもの
4人が九龍城砦から香港の街並みを眺めるラストシーン、ひとつの時代が終わったこと、滅びゆくこと、失われていくこと、だけど変わらずに続いていくものもある、繋げていけるものがあることを信じられる、いいシーンでした。
希望を感じるラストでありながら、九龍城砦はすでに失われて久しいということに、すごく切なく、どこか懐かしい思いで胸がいっぱいになる、最高のエンディングだったなと思います。
『トワイライト・ウォリアーズ』、本当にとてもいい映画です。
出てくる人がみんな強くてかっこいい。
だけどやっぱり一番かっこいいのは、龍兄貴ですね。
強く優しく、生き様がとてもかっこいい。
どのように死んだかではなく、どのように生きたか。
それが、人ひとりの人生において、一番大切なことなんだなと思います。
竜巻を起こす男、龍捲風。
最高にかっこいいです。

4/25から配布された特典のカード。
敵味方が揃って笑っている、本編には存在しない、素敵な光景です。
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